★映画「ウォッチメン」の映像観てきました!PART2

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2008/11/11 22:10

すぴ。

(PART1からの続きです)

というわけで、フッテージの上映のあと、ザック・スナイダー監督との
質疑応答タイムとなりました。

以下、監督の言っていたことをまとめると;
●「ウォッチメン」の原作は、僕が映画学校時代、話題になっていたので読んだ。とても面白いとは思ったが、自分が監督するなんて夢にも思っていなかった。
●「300」のあと、ワーナーからこの映画のオファーがきたけど、
まず断った。これほどアメコミ・ファンに愛され、またテリー・ギリアム他
いろんな監督がラブコールを送ってる作品だから、自分がやるものじゃないと思ってた。
●けどワーナーと話すうちにだんだんやろうか、という気になってきた。
ワーナー側は、原作を現代にもってこうとしてたけど、僕は原作どうり
1985年のアメリカにすべきだと主張し、それを通した。
●もし”現代の話”にしてしまったら、原作者が、1985年を舞台にしたからこそ盛り込むことのできた視点ではなく、僕の政治的視点で描く部分が
出てくる。そんなの誰が興味持つ? 僕は、そこに注力したんじゃなくて、いかにクールな絵作りをするかに、専念したいからね。
●それと、”1985年”の時代設定で描いた方が、逆にいまのアメリカや世界のかかえている矛盾が見えてきた。
●「ウォッチメン」はポリティカルで、知的で、セクシー、バイオレンスで、クールなアドベンチャー・ドラマとしても楽しめるし、深読みして、ウォッチメンの意味するもの、、自分の正義感を押し付ける、、という意味で
アメリカもまた大きなウォッチメンなんだな、と考えながら観ても得るものがある。
●撮影するとき、原作と脚本と自分で描いた絵コンテを並べながらシーンを検討し、撮影したよ。映画を作っていくうちに、自分が本当に「ウォッチメン」が好きで、そして、この作品に対し責任がある、、と思うようになってきた。僕がもしこの映画の監督を引き受けないで、誰か他の監督が撮って原作が台無しになったら、それはそれで僕は「自分の(断った)せい」と責任を感じるだろう。撮っても撮らなくても責任感じるなら(笑) 撮ったほうがいいよね。
●キャスティングに関して、僕は話題性のある人を使う気はなかった。ちゃんとそのキャラを演じられる人であることが重要だった。ロールシャッハ役のジャッキー・アール・ヘイリーは、小柄でがっしりしてて、顔も怖くて(本当はいい奴だけど)、、ロールシャッハにピッタリだった。他のキャストも素晴らしい。
●アメコミとグラフィック・ノベルの違いはね、紙一重だと思うけど、前者がやや子どもより、後者がシリアスで大人っぽい、、ということかな。僕は子どものころ、いわいるアメコミは子どもっぽくて嫌いだった。でも、母がなぜか勘違いしてHEAVY METALというコミック誌を定期購読してくれた。SEXとバイオレンスなマンガばっかりで興奮したよ(笑)
●ウォッチメンは、アメコミ・ファンが非アメコミ・ファンに「まずこれ呼んでご覧よ」とすすめるゲイトウェイ(門戸をひろげる)役割を担うコミックだと思う。
●最近ハリウッドでアメコミ原作映画多いという傾向を、オリジナリティがない的に嘆くことはないと思う。文芸作や小説に原作をもとめる映画は多い
からね。観客が楽しめる映画になるなら、その物語の出展元は関係ないよ。
●僕はアクションというかアクションの殺陣が好きなんだ。だからアクション・シーンは、誰のパンチが相手のどこにヒットしたか、見せるようにしている。それがスピード&スローモーションを組み合わせてアクション・シーン撮る理由さ。(このリズムは)コミックのページをめくる感覚に似てるかも。
●この映画のドラマは、とても複雑(スーパーコンプリックス)で、幾層にもわかれ、ミステリー、ポリティカル、セクシー、アクションといろんな要素がタペストリーのようにお織られている。どこをとりあげても楽しいよ。


僕も彼に質問しました。
すぴ:監督は「300」と言い、今回の「ウォッチメン」といい、沢山のヒーローを映画の中で殺しまくってます(笑)。そんな監督のヒーロー像とかあれば教えてください。
ザック:そうですね。まず、こういう映画のヒーローと現実のヒーローは当然違います。「ウォッチメン」に登場するヒーローは、みな神話に出てくる登場人物みたいなもので、そういう人物たちを殺していくのは楽しかったです。みなさん=観客も、それを期待してるわけだから(笑) でも、真実の
ヒーローとは、理想をもって進んでいく人のことだと思います。

という感じでした!

ザックは非常にクレバーな方で、原作の持つ意味やテーマを十分理解しつつ、とにかく原作に責任をもってクールなシーンを撮ることに徹した、、って彼がこのすごい原作に正面きって挑んだこと、そして、その努力がむくわれたことがよくわかる今日のフッテージ上映でした。

この映画、いま現在、R指定映画になりそうですが(それほど一部過激なシーンあり)、こういう重いのある映画を若い世代に是非みてもらいたいと
思いました。

ちなみに今日の僕は、ロールシャッハのマスクとシルク・スペクターのカラー 黄色と黒をコーディネートしたスーツでした(笑)

 Comments 8
 2008/11/12 07:46
 蜂蜜少年
 日本じゃ馴染みのないウォッチメンだけど かなり面白そうだというのは伝わります
 2008/11/12 11:54
 はりがね虫
 読んでいて、とてもワクワクするレポートでした! ザック監督が凄く思い入れと熱意を持って作られたという のがひしひしと伝わるインタビューですね。 公開までが本当に待ち遠しいです。 血付きスマイルバッジいいですね!
 2008/11/12 18:07
 へむへむ
 なるほど。 監督の原作を大事にする姿勢が痛いほど伝わってきますね〜。 これはかなり期待しちゃいます。(予告編見たときからすでにですが…) なにより現代じゃなくて1985年の設定を変えないでいてくれたのは、なによりうれしいです。 それよりフランクミラーさん、アランムーアさん両方の作品を映像化することができるって、ザック・スナイダー監督はとんでもない人ですね。 そして間近でインタビューできるすぴさんも…うらやましい。。
 2008/11/12 18:52
 yudai
 映画 「WATCHMEN」 キャラクターのヒーローがそれぞれ個性を持って、いろいろなヒーローが出てきますよね。 僕の好きなキャラクターは、「コメディアン」「ロールシャッハ」「ナイト・オウル」です。
 2008/11/12 19:54
 orejima
 膨大な情報量がある原作ですので、何を強調して何をカットするかに監督の力量が出るのだと思います。 ザック・スナイダーはその辺を解っていらっしゃる監督なので、実に楽しみですね。
 2008/11/14 20:43
 すぴ
 ●蜂蜜少年さんへ: 「300」とか「WANTED」とかも知名度なくて大丈夫でしたから、グラフィックノベルものは、キャラクターものとして売らなければいけるのではないでしょうかね。 ●はりがね虫さんへ: そうなんです。監督がすごくいい感じで。考えてみれば「ドーン オブ ザ・デッド」「300」と彼の映画全部みてますね(笑) ●へむへむさんへ: 本当!1985だからこそ意味のあるドラマですよね!ただアラン・ムーアさんは絶対観ない&原作者として自分の名前載せないと、、まあかたくなな態度らしいです。 ●yudaiさんへ: 僕は、予告等でシルク萌えです(笑)ナイトオウルのメカ、かっこいいですね! ●orejimaさんへ: ラストがどうやら原作と違う!らしいんです! ここも楽しみです。
 2008/11/14 20:57
 orejima
 エッ…ラストが違う? う〜む、どう違うのか興味深いです。 映画に合わせて原作の日本語版も復刻されるといいですね!
 2008/11/14 21:38
 すぴ
 どういうレベルで違うのかわからないですよね。 なんか、いくつかエンディングを作ってあって、 試写の評判見ながら決めてるらしいですよ。 だから原作どうりのラストも用意してるかも、ですね。