まさかこの作品を劇場で観ることが出来るとは思っていませんでした。 『悪魔の植物人間』 70年代のイギリスのホラー映画で、いま 新宿のシネマートさんで1/29(金)-2/18(木)開催の ≪狂人暴走・大激突≫特集上映の1つとして上映です。 前の記事でも取り上げた『悪魔の墓場』もそうですが 子どもの頃、広告見て、すごく震えて、でもちょっと観たくて、 けれど子ども一人でまだ映画館に行ってはいけないし、だけれど親に 連れてってとねだれない、、ので見逃していました(笑) 確か公開当時は吸血コウモリのホラー映画と2本だてだったような。 タイトルがすべてなんですが、この手の映画は 怪人が暴れまわるというよりも 結果、怪人を生み出してしまうマッド・サイエンティストのお話です。 なので怪人が暴れまわるシーンはそんなにないですが 十分満足させてくれる暴れまくり。 僕の好きな『大アマゾンの半魚人』に、 スプラッター映画の『バーニング』のハサミ殺人鬼と ショッカーの怪人をブレンドしたような造形がいい。 なにより人を捕食する時、全身がハエとり草になっているというアイデアも秀逸です。 この植物怪人とこれまた僕の好きなハエ男(『ハエ男の恐怖』『ザ・フライ』)が戦ったら・・ ハエ男の方が食べられちゃいますね・・笑 僕はアメコミでもスワンプ・シングとか好きなので、 こういう怪人系はウエルカム。フィギュアとか欲しいなあ。 (映画館でなんと!素敵な『悪魔の植物人間』クッキー売っていて買ってしまいました‥写真・・笑) 実はこの怪人さえ大きなスクリーンで観れればいいと思っていたのですが ストーリーも面白かった。 この時点で、 すでにDNAで恐竜を復活させるとか、遺伝子組み換えとか、 アイデアが出てきます。 (いやそもそも”DNA”という言葉が今から50年近く前の映画に 既に出て来たんですね) マッド・サイエンティストも将来の食糧危機に備え、太陽光だけで生きていける つまり光合成の出来る人間を作る=それは植物のスペックを持っている、 という理念の持ち主で、だからこの怪人を生み出してしまう。 典型的なマッド・サイエンティスト物ですが、 実はもう一つ大きな要素というか軸があります。 その部分は いまの倫理観、人権への意識の高まりから考えると、 かなり問題がある描き方で いまだったらこの映画は作れないでしょう。 けれど”進化とノーマル”という本作のテーマを象徴するところでもあり 本作に妙な深みを与えています。 もちろんCGなんてないし、 本格的な特殊メイク・ブームが起こるのは80年代ですから 怪人は”着ぐるみ”ですが それ故の質感が妙に生々しく迫力があります。 円谷プロさんの名作『怪奇大作戦』とか 『緊急指令10-4・10-10』(第一話はまさに人喰い植物の話) に通じるテイストもあります。 とくにかく少年時代のトラウマをスクリーンで観ることが できて感激でした! なお本作の強烈キャラ、リンチを演じているトム・ベイカーは後に『ドクター・フー』で ブレイクします。