★MY「ローグ・ワン」レビュー:「ありがとう」と言わないヒロインに恋して

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2016/12/23 06:22

すぴ。

すでに多くの方が絶賛しているスター・ウォーズ「ローグ・ワン」! 遅ればせながら、そのレビューです! 僕もその絶賛に仲間入りです。極力ネタバレのないレビューです。 MAY THE FORCE BE WITH US! 予告等でも流れている、主人公ジンのこのセリフ。 WITH YOU ではなく WITH US、、これが 「ローグ・ワン」なのでしょう。 ”YOU=誰かに託す” のでははなく ”US=私たちがやらなきゃ誰がやるの!” そういって彼らは立ち上がります。 1977年(日本は78年)に「スター・ウォーズ」が公開されたとき、 宇宙を舞台にしたスペース・バトルに大興奮しました。 しかし「スター・ウォーズ」は、宇宙戦争映画というより、 フォースとジェダイの騎士の物語を軸としたヒロイック・ファンタジー になっていきます。 確か手塚治虫さんが、「スター・ウォーズ」の面白さを認めながらも ”宇宙人とかロボットとか宇宙船とかSF的な小道具は出てくるけど 本質的にはSFではなく、西遊記のようなもの”と言っていましたが、 まさにルーカスは、神話や英雄冒険譚みたいなものを目指していたのでしょう。 しかしこの「ローグ・ワン」は、こういうファンタジー要素を排し 1作目の「スター・ウォーズ」が見せてくれた 光線銃のビームや宇宙船が飛び交う、 ”SF戦争アクションとしてのスター・ウォーズ”の面白さを 追求したエンタテインメントになっているわけです。 スピンオフというのが勿体ないくらい 宇宙戦艦入り乱れての宇宙戦争シーンは、 もしかすると「スター・ウォーズ」7作と比べても一番ハデだし、 僕の大好きなAT-AT(四つ足歩行の巨大戦車)も大活躍。 タイ・ファイターの出撃数も一番多いのでは?(笑) ちょっとマニアックなエイリアンの2人組が出てきたりとファン心をくすぐるネタもあります。 あ、そもそも「帝国の逆襲」にでてきたローグ中隊って、彼らの栄誉をたたえてうまれたのかな? この映画、完成前のラッシュ(仮編集みたいなもの)を観た ディズニーの幹部の方が撮り直しを命じたと言われていますが、 それも納得です(笑) というのもあまりに戦争映画トーンだから、 そのままだとエピソードⅣにうまくつながらなかったのでしょうね(笑) では殺伐とした映画なのか、そうではない。 キャラクターたち=いずれも帝国と反乱軍の戦争で人生を狂わされた者たちが 自分の存在価値のために立ち上がるのです。 デス・スターは彼らにとって憎むべき”戦争そのもの”の象徴なのでしょう。 だから絶対、存在することが許せなかった。 僕の記憶に間違いなければ、ジンは決して「ありがとう」というセリフを言わない。 一人でずっと生きてきたジンは「ありがとう」というコトバを知らなかったのかもしれない。 しかし彼女のちょっとした表現や行動で、ジンが仲間たち=ローグ・ワンを心から 信頼し、感謝し、そして愛していることが伝わってきます。 この映画にはフォースが登場しません。 しかし、この映画には確実に観客の心を動かすフォースが宿っています。 ローグ・ワンよ! フォースと共にあらんことを!