★I WATCHED 「ウォッチメン」:映画「ウォッチメン」レビュー

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2009/03/01 00:19

すぴ。

ご注意!
映画「ウォッチメン」のレビューです。
映画をまっさらな気持ちで観たいという方はパスしてくださいませ。


先日、「ウォッチメン」の試写をウォッチ=観させていただきました!
本作については、皆さん楽しみにされているので、余計なノイズは入れるべきではないし、またネタバレになってはいけないので、どうしようかと思ったのですが、
やはりこの“体験”を皆様に伝えるのも、このブログの使命と思い、極力
ネタバレの無い様に、書いてみます。

で、まず結論から言います。
大変、見応えのある、堂々たる作品です。

だから、皆さん安心してください。
公開されるかどうか、ハラハラしましたが、あれだけ心配したことが決して無駄ではない、
“百聞は1WATCHにしかず”な問題作です!

そして、「ダークナイト」以来の、議論を呼ぶ、大問題作になるでしょう。
そして、誰もが、1つ1つのシーンのビジュアル・インパクトには圧倒されると思います。


昨年、監督のザック・スナイダーが来日したときに、「僕は、とにかくクールなシーンを作ることがしたかったんだ」とコメントしていました。
そのコトバどうりの映画でした。
つまり、これはザック・スナイダーとして、自分なりに物語をこう解釈して、自分版のウォッチメンを作る気持ちは毛頭無くて、とにかく原作に忠実に、原作のビジュアルをいかにかっこよく映像化するかに命をかけている、そんな作品でした。
これは、決して、ザック・スナイダーが“物語”をどうでもいいと思っているわけではなく、すでにグラフィック・ノベルとして完成している“物語”はある意味で完璧で、自分の解釈を持ち込む必要は無いと思ったのでしょう。これは、バットマンとジョーカーというキャラをかりて、ティム・バートン版「バットマン」、クリストファー・ノーラン版「ダークナイト」と称されるものが生まれた、、のとは異なると思うのです。

もし、原作を読まれてなくても、この独特な世界にハマれるでしょう。そう、この映画の楽しみ方は、ウォッチメンの誰かに感情移入して観るというより、ロールシャッハに導かれながら、この不思議な世界を旅することにあるからです。

と、同時に、ザック・スナイダーは、アクション映画としてのケレン味もわすれていません。もしかすると、この映画は、例えば本当に米ソ冷戦から核戦争が起こるのではないか?ということを実体験で知ってる世代とそうでない世代では感じ方がちがうかもしれません。
1985年という舞台設定自体が、ケータイもインターネットもない時代の話ですから、いまの若い世代にとっては、かなり古い時代の話にみえるかもしれません。でも、そんな“しがらみ”をふっとばすぐらい、アクション&バイオレンスのシーンは、映画的魅力にあふれています。これもザック・スナイダーが言っていたとうりで「この映画から政治的なメッセージを感じてもいいし、単純にCOOLなアクション映画として楽しんでもらってもいい」でしたが、まさにその通りの仕上がりでした。

原作を読まれた方は、
いくつかのシーンが、原作のビジュアルそっくりで、またセリフも一緒だったりすることにビックリされるハズです。これは、もう原作に忠実に映画化 というレベルではなく、
原作のコマに忠実に映像化、、というシーンがいくつもでてきます。
とはいえ、やはり映画は上映時間の問題もありますから、当然、原作の中からカットされたシーンや、原作を変えたシーンもいくつかあります。
(特に“すさまじく変えてしまった”設定があります。“巨大●●”が出て来●●、、んです! え、じゃあどうするかって????)
だから逆に、原作のファンの方の中で、
自分が好きなシーンが劇中登場しなかったり、
変更されていたりすると、この映画に とまどうかもしれません。
しかしながら、僕は、原作で好きだったシーンのほとんどがキチンと反映=忠実かつCOOLに映像として“再現”化されており、そして、原作で最も感動したDrマンハッタンのセリフが、ちゃんと登場したので、圧倒的に“賛”です。


続編もスピンオフも、映画としては作られないそうですが
ロールシャッハのスピンオフとか、是非観てみたいです。


思い起こせば、アメコミ映画は、その時代の
アメリカの歴史とひもづいています。
アメリカ建国200年の余波の後、「スーパーマン」が作られ
米ソ冷戦の終結の年に、ティム・バートン版「バットマン」が公開され、
ミレニウムの始まりに「X-メン」が登場し、
ポスト911で「スパイダーマン」が生まれました。
金融危機とオバマ政権誕生という、アメリカの転換期に「ウォッチメン」が
登場した、というのも偶然ではない気がします。

ぜひとも、あなたの目で、WATCHしてください!

 Comments 11
 2009/03/01 17:46
 蜂蜜少年
 またぐっとウォッチメンが楽しみになりました。 とりあえず 原作を購入してみたいと思います。 後、Dr.マンハッタンのチ○チ○がぶらぶらしてるってのは本当ですか!?(笑)
 2009/03/02 12:47
 すぴ
 本当です!(笑) 青いです!(笑)
 2009/03/02 15:20
 orejima
 それはすごい! そこまでやってしまうとは… ザック・スナイダーは「本気」ですね〜(^^)
 2009/03/13 23:26
 すぴ
 そう本気なんです。 Drマンハッタンのシーンは、やっぱり圧倒されます。 逆にコミックもそうですが、パンツはいてる方が笑えます(笑)
 2009/03/29 13:10
 ピアッツァ
 「ウォッチメン」、かっこよかったです! ただ、映画とは別に、 パンフを買って残念なのは、 杉山先生を初めとしたコラムが、 一切掲載されていなかったこと。 このブログに掲載されている文章や インタビュー等が掲載されていれば、 もっと良いパンフになったかなぁと少し残念でした。 先生、今後も頑張ってください!
 2009/03/29 17:52
 仮面ライダーヨズノリ
 僕は先日、IMAX菖蒲という所で朝一で観て来ました。 3時間近い上映時間でしたが、退屈せずに映像に引き込まれました。 ジャッキー・アール・ヘイリー氏の演じるロールシャッハの迫力が凄すぎました。ザラついた感じの話し方が印象的でした。 他のヒーロー達のアクションシーンもスローモーション多用でカッコよく思いました。 この作品が僕のIMAXシアターデビュー作になりました。ロールシャッハ手ぬぐいが売ってましたよ!
 2009/03/29 22:17
 すぴ
 ピアッツアさんへ; どうもありがとうございます!今回、パンフは本国の意向で、日本オリジナル原稿は載せない方針 だったそうです。再販された日本語版も、前回とちがって<解説>が少ないのも、そういう理由らしいです。 これからもよろしくお願いします。 仮面ライダーヨズノリさんへ; あ、109シネマズですよね!川崎より先にオープンしたんだ、IMAX! 情報ありがとうございます!僕も行こうっと。 ロールシャッハ泣けますよね!
 2009/03/30 01:43
 orejima
 ロールシャッハをはじめキャスト一同「劇似」でしたね〜 キャスティングに関してはこれ以上はないのではないかと。 気になったのはやはり例の変更でしょうか。 今のところ一度観ただけなので、まだ自分の中では判断がつきかねるところですが…
 2009/04/01 00:43
 すぴ
 orejimaさんへ; キャスティングは完璧でしたよね。ロールシャッハなんか、コバックのときのそばかす(?)まで再現していましたから。 例の変更は、たしかに原作どうりのラストもみたかったのですが、そうすると、あと30分ぐらい伏線とか足さないと、あまりに唐突になってしまうから、泣く泣く変更したのでは?と思います。 ただ、あの角のある白トラはでてくるわけだから、 ヴェイトは技術的には、合成生物を作れるテクノロジーを、映画の中でも、すでにもっていた、ということでしょうね。
 2009/04/01 02:26
 orejima
 確かに原作では周到に伏線が張られてますね〜。 3時間以上のディレクターズカット版もあるようなので… ホリス・メイソンの件も含めて期待です。 その前に2回、3回と見なきゃですね(^_^;)
 2009/04/01 17:02
 すぴ
 orejimaさんへ: やっぱり原作よんだとき、結構、あれ、どうだったんだっけ、、と前のページとか読み返したり したんですよ。本だとそういうことできるけど、 映画だとできないから。 まあ映画化するっていうのは、そういうことへの配慮なのかもですね。