ご注意!
映画「ウォッチメン」のレビューです。
映画をまっさらな気持ちで観たいという方はパスしてくださいませ。
先日、「ウォッチメン」の試写をウォッチ=観させていただきました!
本作については、皆さん楽しみにされているので、余計なノイズは入れるべきではないし、またネタバレになってはいけないので、どうしようかと思ったのですが、
やはりこの“体験”を皆様に伝えるのも、このブログの使命と思い、極力
ネタバレの無い様に、書いてみます。
で、まず結論から言います。
大変、見応えのある、堂々たる作品です。
だから、皆さん安心してください。
公開されるかどうか、ハラハラしましたが、あれだけ心配したことが決して無駄ではない、
“百聞は1WATCHにしかず”な問題作です!
そして、「ダークナイト」以来の、議論を呼ぶ、大問題作になるでしょう。
そして、誰もが、1つ1つのシーンのビジュアル・インパクトには圧倒されると思います。
昨年、監督のザック・スナイダーが来日したときに、「僕は、とにかくクールなシーンを作ることがしたかったんだ」とコメントしていました。
そのコトバどうりの映画でした。
つまり、これはザック・スナイダーとして、自分なりに物語をこう解釈して、自分版のウォッチメンを作る気持ちは毛頭無くて、とにかく原作に忠実に、原作のビジュアルをいかにかっこよく映像化するかに命をかけている、そんな作品でした。
これは、決して、ザック・スナイダーが“物語”をどうでもいいと思っているわけではなく、すでにグラフィック・ノベルとして完成している“物語”はある意味で完璧で、自分の解釈を持ち込む必要は無いと思ったのでしょう。これは、バットマンとジョーカーというキャラをかりて、ティム・バートン版「バットマン」、クリストファー・ノーラン版「ダークナイト」と称されるものが生まれた、、のとは異なると思うのです。
もし、原作を読まれてなくても、この独特な世界にハマれるでしょう。そう、この映画の楽しみ方は、ウォッチメンの誰かに感情移入して観るというより、ロールシャッハに導かれながら、この不思議な世界を旅することにあるからです。
と、同時に、ザック・スナイダーは、アクション映画としてのケレン味もわすれていません。もしかすると、この映画は、例えば本当に米ソ冷戦から核戦争が起こるのではないか?ということを実体験で知ってる世代とそうでない世代では感じ方がちがうかもしれません。
1985年という舞台設定自体が、ケータイもインターネットもない時代の話ですから、いまの若い世代にとっては、かなり古い時代の話にみえるかもしれません。でも、そんな“しがらみ”をふっとばすぐらい、アクション&バイオレンスのシーンは、映画的魅力にあふれています。これもザック・スナイダーが言っていたとうりで「この映画から政治的なメッセージを感じてもいいし、単純にCOOLなアクション映画として楽しんでもらってもいい」でしたが、まさにその通りの仕上がりでした。
原作を読まれた方は、
いくつかのシーンが、原作のビジュアルそっくりで、またセリフも一緒だったりすることにビックリされるハズです。これは、もう原作に忠実に映画化 というレベルではなく、
原作のコマに忠実に映像化、、というシーンがいくつもでてきます。
とはいえ、やはり映画は上映時間の問題もありますから、当然、原作の中からカットされたシーンや、原作を変えたシーンもいくつかあります。
(特に“すさまじく変えてしまった”設定があります。“巨大●●”が出て来●●、、んです! え、じゃあどうするかって????)
だから逆に、原作のファンの方の中で、
自分が好きなシーンが劇中登場しなかったり、
変更されていたりすると、この映画に とまどうかもしれません。
しかしながら、僕は、原作で好きだったシーンのほとんどがキチンと反映=忠実かつCOOLに映像として“再現”化されており、そして、原作で最も感動したDrマンハッタンのセリフが、ちゃんと登場したので、圧倒的に“賛”です。
続編もスピンオフも、映画としては作られないそうですが
ロールシャッハのスピンオフとか、是非観てみたいです。
思い起こせば、アメコミ映画は、その時代の
アメリカの歴史とひもづいています。
アメリカ建国200年の余波の後、「スーパーマン」が作られ
米ソ冷戦の終結の年に、ティム・バートン版「バットマン」が公開され、
ミレニウムの始まりに「X-メン」が登場し、
ポスト911で「スパイダーマン」が生まれました。
金融危機とオバマ政権誕生という、アメリカの転換期に「ウォッチメン」が
登場した、というのも偶然ではない気がします。
ぜひとも、あなたの目で、WATCHしてください!